前回記事で、参考書の紹介をしたので勉強法について紹介していきたいと思います。
前回と内容が重複しますが、600点台を取るのに、英語を英語のまま理解する力はいりません。この段階では、文法、単語の知識を蓄積し、それらの知識を英文読解に応用していくことが、学習の中心となります。そのため、勉強法もおのずとそれを目的としたものになります。学校の英語の勉強に近いものとなります。
英語力の向上につれて、学習方法、学習の目的は英語を英語のまま処理することに移り変わっていきます。読解、リスニング、スピーキング、ライティングのすべての側面において、最終的にはスピードの獲得が重要な項目となるからです。
学習の順番
まず、学習の順番についてお話しましょう。1)精読の学習2)文法の学習からはじめ、それでも時間に余力があるようでしたら、単語の学習をします。
初めに精読の学習をおすすめするのは、文法を学習する際にも、単語を学習する際にも、文法問題で使用されている文章や、例文で使用されている文章を読み解く必要があるからです。
また、「TOEIC 640点、600点台への道 ~参考書編~」の記事で紹介した大学受験用の精読用参考書は、1ページの英文であれば、それに対して3ページも5ページも解説があります。単語、文法の参考書と比較し、詰まることなく学習を進めることができるでしょう。
精読用参考書の学習法
精読とは
まず、精読とは何なのかについての認識を共通化しておきたいと思います。次の文章を精読してみましょう。(たったいま、横にあるスマートフォンでサジェストされてたニュースから適当に拾ってきた文章です。)
Working from home (which many of us have been forced to do for the past few months, whether we want to do or not) can be more productive than being in an office -provided you have a comfortable and functional place to work within your home. Unfortunately, for many who have been suddenly thrown into this situation, the best space they have to work is on a small laptop at a dining room table. (Excerpt from Ananta USB-C portable display review: work from home battle station.)
この文章を読んで、
Working from homeが主語だな、次に動詞 can be が来たぞ、productiveは、形容詞だから、名詞を修飾するか文章中で補語として働くかのどちらかだな。今は、動詞がbe動詞だし、さらにproductiveの後に名詞もない、productiveは、文章中で補語として働いているんだ。つまり、この文の文型はSVCで第2文型だ。第2文型は、「SはC」だという意味だから、家から働くことは生産的であるが文の骨格となる意味だな。moreがあるから、何かと比べてるみたいだ、比較の対象もちゃんとthanで示されているぞ、比較されてるのは、being in an office is productiveで、重複部分は必要ないから省略されて、than being in an officeとなっているんだな(長くなるのでこの辺りで止めます)。
大雑把に説明しておくと、whichは、目的格の関係代名詞(doの目的語がないから)、whetherは、副詞節を形成しており、であろうとなかろうとの意味、providedも副詞節を形成しており、「と仮定すると」の意味ですね。
と曖昧な点を残さず分析的に読んでいくことです。ちゃんと根拠もって分析できているのかも大切ですね。
例えば、接続詞whetherは、名詞節と副詞節を形成しますが、関係施設whichから始まる従属節は、many of us have been forced to do (which)で、従属節の文型はforce many of us to do which の受動態で完結してしまっています。もし、whether節が名詞節であった場合、文の中で、主語、補語のいずれかとして機能しなければならないのですが、文型が完結してしまっているため、名詞節にはなれません。そのため、副詞節と判断せざるを得ず、副詞節のwhetherは、「であろうとなかろうと」の意味、となります。
精読用参考書を行う目的は、このような分析的な読みを自分でできるようにすることにあります。
1サイクル目
ステップ1: とにも書くにも解説を頼りに英文を読み解いていきましょう。一度目に参考書をやるときは、英文を自力で読み解く必要はないです。解説を並行して読みながら、英文を読み解くプロセスを解説に沿ってトレースしてください。プロセスを再現できるようになることこそが、精読用学習の目的ですから。
不明点があれば、必要に応じて文法書を用意して、わからない文法項目の該当箇所を参照し、理解に役立てるといいです。未知の単語の意味の確認もこの段階で行ってしまいます。マメな方は、エクセルやQuizletなどのアプリを使って、個人の単語帖を作ってみるのも有益です。
文法書の紹介:
ステップ2: 読み解いた英文を音読します。回数は、おおければ多い方がベターですが、最低でも5回程度は、行いたいところです。全体を均等回数行う必要はありません、簡単な英文は3回といった少ない回数で十分でしょうし、難しい英文は、10回、20回実施する必要があるでしょう。大学受験用精読問題集の欠点は、CDがないことです。あまり発音やリズムにはこだわらないことにしましょう。
一度で完璧を目指す必要はありません。すっと構文把握ができないな、意味が入ってこないなといった箇所にあまりこだわりすぎず、10回から20回程度の音読を行ったのち、次のセクションへ進みましょう。
2サイクル目
2サイクル目では、まず自分で文章を読み解くことステップを1サイクル目に加えます。単語の確認、文法項目の確認は1サイクル目で実施していますし、1サイクル目で読み解いた文章ですから、
ステップ 1: 文章の読み解き、構文把握を行う。解説と同じプロセス(もしくは異なっていても、一つ一つの判断に理由をつけられるかを大切にしながら)をトレースできるかを意識してください。分からない箇所は、遠慮なく解説を参照してください。できなかった箇所はは、マークを入れておき、3サイクル目以降では、マークの入った個所のできないをできるに変えていきます。
ステップ2:1サイクル目のステップ 2と同様です。
3サイクル目以降
ステップ1:2サイクル目のステップ1を、マークの入った個所のみ行います。
ステップ2:1、2サイクル目のステップ2と同様です。
サイクルの終え方
予想通りとは思いますが、マークの入った個所がなくなるまで、サイクル回しは続きます。
何サイクルやれば十分といった基準は、ありません。学習の目的を定め、その目的が達成したサイクルが完了した時点でサイクル回しをやめましょう。人それぞれの、参考書を始めたときの英語力によって、必要なサイクル数は異なります。
精読の勉強では、参考書の英文に対して、分析的な読みができるようになることがゴールです。とはいっても、すべての英文に対して完璧にできる必要はありません。100パーセントでなく、85パーセントから90パーセントくらいの英文に対して実施できれば十分でしょう。100パーセントを目指しても、最後の数パーセントは、もはや記憶をしてしまい、プロセスをなぞるという感じではなくなってしまいますから。
また、ここでは学習初期の段階として、英語を分析的に読むことを学習しますが、英語は、当然言語です。文法的に解釈をつけるのが、困難な表現、例外的に扱わなければいけない文は探せばいくらでも存在します。
次、文法の勉強法に続きます。
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