英文法はいらない?英文法は、英語学習の効率を高めてくれる味方です。

Why should study grammar

文法の勉強となると、いかにも英語の実用的なところから離れているように感じて、次のように疑問を感じる方も多いのではないでしょうか?

  • 文法って大学受験には必要だけど、実際のコミュニケーションには必要ないでしょ?
  • ネイティブの人は、文法なんて知らないよ。もっと、ネイティブが言語を学んできたように自分たちも学ぶべきじゃない?

このブログでは、TOEICのはじめの段階600点台の勉強方法を説明するにあたって、文法や精読の勉強法や必要性について話してきました。

文法、精読の参考書紹介はコチラ:TOEIC 640点、600点台への道 ~参考書編~
精読の勉強の仕方はコチラ:TOEIC 640点、600点台への道 ~勉強法1、精読~
文法の勉強の仕方はコチラ:TOEIC 640点、600点台への道 ~勉強法2、文法~

本記事では、なぜ文法の学習を行った方がいいのかについて、文法学習にかかる労力と効果の観点からお話します。

私は、現在USニュースのランキングでトップ10内のアメリカの大学で、博士課程に在籍しています。留学準備でTOEFL iBTのスコアをそろえるとき、大学受験時で学んだ、文法の力に助けられました。

もちろん、文法や精読といった学習は、言語学習の自然なプロセスからは外れるものです。それでも、第2言語として英語を学ぶ学習者には、大きなメリットがあります。

一言で言ってしまえば、文法を学んだ方が英語を効率よく学習することができます。

ネイティブの英語は、もちろん表現は多彩で、自然なものです。私たちが、文法の力を借りて組み立てた文章は、不自然なことが多いでしょう。

それでも、第2言語として英語を学ぶ私たちが、限られた時間で中身ある内容を、英語で理解し、発信していくためには、文法の助けを借りる方がいち早くそのレベルに到達することができます。

本記事では、

  1. 子供の言語学習プロセスと、大人の言語学習プロセスの違いについてお話しをして、
  2. 大人の英語学習の特徴を踏まえて、文法を学習した方がよい理由についてお話します。
目次

子供と大人の言語学習プロセスの違い

表現の簡単のために、大人と表現していますが、英語を第二言語として学習する場合のことです。

子供の言語学習は、帰納的です

成長の過程において、膨大な数の英語表現に触れます。簡単な表現を覚えて、自分の言葉として発します。

聞く、覚える、話す(使う)を繰り返して、少しづつ表現が拡大していきます。

成長にともない、読む、書く、もするようになり、理解できる表現、使いこなせる表現は、より複雑なものへとなっていきます。

言語学習のプロセスのほぼすべては、無意識的に進行します。操る言葉は、ルール(文法)に従っていますが、結果的にそうなっているだけであり、本人は意識していません。

ルールから外れる例外的表現も、間違いなく使いこなせます。

対して、大人は、演繹的学習を進めます。

読み、書きを中心に、ルール(文法)を学びます。(実際は、問題を解いたりするわけですが、書きということにしておきます。)

ルールを使って読む方法(精読)を学びます。

単語を覚え、それなりの分量の文章に触れることによって、英語を読むことができるようになります。

書くこともできるようになります。聞くこと、話すことも、拙いながらも徐々にできるようになってきます。

しかし、発っすることのできる表現には、限りがあります。使える表現も、英語として意味は通るものの不自然な表現が多いです。

何もかもが、子供の言語学習プロセスのがいいですね。

ただ、この話ではかかった時間や労力の話が抜けてます

子供は、どのくらいの時間や労力を使っているのでしょうか。小学1年生ですと、6歳。6年間。この間、すべてのコミュニケーションは、英語で行われます。

英語がわからないと、伝えたいことが伝えられない。知りたい情報も得られません。

大人は、中学、高校に英語を勉強したと考えると6年間、実際に英語に触れている時間は、英語の授業中や宿題をやっている間。その時間中にも、かなりの間、日本語を使用している時間が含まれています。

母語である、日本語が使えるので日常のコミュニケーションで英語が使えなくても、困ることはありません。

実際には、大人よりも子供の方が言語習得に多くの時間をかけていることがわかります。子供の方が、必要性、緊急性に迫られ言語習得の動機も強いことがわかります。

まとめると、

子供の言語学習プロセス

  • 帰納的。多くの表現を聞き、使う中で自然と使えるようになる。
  • 発する表現はもちろん自然。
  • 膨大な時間がかかる。

大人の言語学習プロセス

  • 演繹的。ルールを習得し、単語の知識と組み合わせて英語を理解、作り出す。
  • 作る英文は不自然なことが多い。
  • 必要な時間は少ない。

という感じです。

大人の英語学習には、時間がない。だからこそ英文法が必要です。

それでは、私たちが英語を学ぶとき、子供が母語として英語を学ぶように学ぶことがいいのでしょうか?

大人が英語を学ぶ時には、以下のような点が子供とは異なります。

  • 語学学習に使える時間は、限られる。
  • 求められる内容のレベルが高い。
  • 第2言語として英語を学ぶ。

まず、大人が英語学習をする際には、到達したい英語力に対して、使える時間や期間が限られているケースがほとんどです。

たとえば、

  • 大学受験のためにTOEICの点数が必要、
  • 海外赴任が控えているので、英語で最低限仕事が進められないと困る

などですね。

こういった状況下では、目的とするレベルを見越して、強引に英語の理解力、発信力を高めていかないといけません。

母語話者は小学校入学までに17000時間以上英語にふれて、私たちは中学・高校で約3000時間程度英語に触れます〔1〕。

それほど長い時間を費やしているにもかかわらず、小学校入学の英語の力では、大人が要求するレベル、例えば仕事について話せる英語力には届いていないでしょう。

日本の小学生が大学受験の国語の文章は、読めないですし、仕事ができる言語レベルにはないですよね。

17000時間をかけているのにです。(もちろん、使える英語力内の流暢さは完璧です。)

この時間の制約と求められる英語力の高さの矛盾解決の、助けとなるのが文法です。

文法は、英語のルールです。ルールがわかれば、文章を組み立てることができます。

たとえば、

A second problem is the fact that many renewable power generation sources are located in remote areas, such as windy uplands and coastal regions, where there is currently a lack of electrical infrastructure. (Exam Englishより引用)

という文章は、

  • 第二文型の作り方(a second problem is the fact)
  • 同格のthat (the fact that~)
  • 受動態の作り方(are located)
  • 関係副詞whereの使い方(where there is ~)

など(他にもいろいろ含まれてますが)を知っていて、これに単語の知識を組み合わせれば、作ることができます。

このように、ルール(文法)を知識として学び、ルールに単語の知識を適用して文章を作ることで、複雑な内容を読むことができますし、書くことができるようになります。

聞くこと、話すことも、流ちょうにとはいきませんが、訓練を積むにつれて次第にできるようになっていきます。流暢さの要請には、膨大な時間がかかります。

同じような内容を扱うレベルに、文法を学ぶことで、子供が母語を学ぶよりもはるかに短い時間で到達することができます。

読むスピードは遅いかもしれませんが高度な内容を理解できます。

表現は不自然かもしれませんが、内容的に難しいことも意味が通る英語として発信できるようになります。

せっかく、すでに日本語である母語を操ることができるのです、日本語でルールを学んで、英語学習にも役立ててしまいましょう。

自然な言語獲得プロセスと比較すれば、いびつな言語習得プロセスなので、ひずみも出ます。それが、表現の不自然さや、話せない、聞けない、つまりはスピードがないといったことです。

でも、これらの力は、後々取り組めばいいことです。長い目で見て、継続的に鍛えていきましょう。

英文法の学習は、そもそもそんなに時間かかりません。

最後に、文法の学習にそれほど長い時間はかからないってことをお伝えしておきたいと思います。

英語学習の中でも、文法や精読は、知識であり、学ばなければならない必要量に限りがあります。

具体的には、英語を学習していく中で、中学の学習範囲の中で8割程度は終わっていて、関係副詞や仮定法など残りの2割程度は、高校で学習します。

自分自身も、大学受験以降はまとまった英文法の学習はしていません。それでもこうして、アメリカの博士課程で勉強しています。

大体、期間としては半年から一年程度で、大学受験用の文法の問題集を2、3冊終えてしまえば文法の学習は終わりです

半年から一年って、英語学習の中で見たらものすごく短い期間です。

英語の他の力である、スピーキングやライティングに必要な、表現の多様性などは、5年とか10年かかっても、ネイティブレベルに達することは、ほぼ不可能ですから。

文法は、英語学習の初めのうちに、ささっと身に着けてしまって、そのあとは継続的に英語の運用能力の向上、表現力の向上をしていきましょう。

文法の学習方法や、参考書は、こちらを見てみてください。

文法、精読の参考書紹介はコチラ:TOEIC 640点、600点台への道 ~参考書編~
精読の勉強の仕方はコチラ:TOEIC 640点、600点台への道 ~勉強法1、精読~
文法の勉強の仕方はコチラ:TOEIC 640点、600点台への道 ~勉強法2、文法~

参考とした文献:〔1〕英語学習論: ―スピーキングと総合力― 青谷正妥著、朝倉書店

にっくよし
社会人を経験後、アメリカのテキサス州で電子工学を専攻してます(博士課程)。

少しでも留学者(道連れとも呼びます)を増やすために、TOEFLスコアアップ法を紹介します。
まずは、交換留学に、次に正規留学に。
社会人から留学へ。
こんな方、増えるといいな。

国立理系大学→電気メーカー研究所→アメリカで博士学生

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